カリフォルニア州ロサンゼルスで2025年1月7日に発生した山火事は、広大な面積を焼失しました。
さらに、22日に新たに発生した山火事が急速に燃え広がり、近隣住民5万人以上に避難指示や警告が出される事態となっています。これらの火災は、雨が降らないことによる極度の乾燥や、強風(サンタアナ風)によって拡大したといわれています。
奇跡的に焼失を免れた住宅「奇跡の一軒家」
こうした中、周囲の家が焼け落ちる中、奇跡的に焼失を免れた住宅「奇跡の一軒家」がニュースで取り上げられ話題になっています。その家には、日本ではお城や蔵に使われる「漆喰」が外壁に採用されていました。
漆喰は日本の伝統的な素材で、防火性能が高く、城郭を火災から守るために重要視されてきました。その白い壁は神聖さや清浄さを象徴し、多くの神社仏閣でも使われています。
また、漆喰は調湿性や抗菌性を備えており、快適な住環境を提供するため内壁にも使用されます。さらに、白い壁は街並みの統一感を演出し、自然素材であることから環境にも優しいとされています。
姫路城、松本城、松山城、法隆寺などの日本の美しい建築物には漆喰が採用されています。それだけでなく、ヨーロッパでも、ギリシャ、スペイン、イタリア、フランスなど地中海沿岸の国々で古代から広く使用されてきました。エーゲ海沿岸の白い家々を思い浮かべる方も多いでしょう。
漆喰の主成分は水酸化カルシウムで、これに砂や繊維などの補強材を加えたものです。強い日差しを反射して室内を涼しく保つ効果があり、海風による塩害から建物を守る役割も果たします。スペインのアンダルシア地方やイタリアのトスカーナ地方のヴィラ、メキシコの教会など、世界中で漆喰が使われているのです。
災害から我が家を守るには、素材や構造だけでなく、近隣の状況にも注意を払う必要があります。例えば、空き家があったり危険物を扱う工場がある場合や、木造住宅が密集している地域(木密エリア)では、地震時の建物倒壊や火災発生時の延焼拡大などの危険性が高まります。その意味では、分譲地のように建物の防災性能が同じ程度である場所は安心といえるでしょう。