住まいと暮らしのQ&A

適切設置と適切管理、意外と知らない?住宅用火災警報器の使い方

平成16年の消防法改正を受け、今や全国各市町村の条例で設置が義務化されている「住宅用火災警報器」。いざという時の安全と安心を確保するために欠かせない設備のひとつです。今回は、住宅用火災警報器の効果と、いざという時の正しい設置・維持管理についてご案内します。ぜひ、この機会にお住まいの火災警報器の点検をお勧めします。

住宅防火対策の「切り札」

住宅火災の死に至った経過別死者発生状況(放火自殺者等を除く)

時間帯別住宅火災の死者(放火自殺者等を除く)発生状況

図の通り、近年の住宅火災による死者の発生状況を経過別に見ると、逃げ遅れが最も多く、全体の約6割を占めています。また、死者の発生状況を時間帯別にみると、発生数は起きている時間帯が多い一方で、火災死者数は就寝時間帯の方が多くなっています。つまり、就寝時間帯が、昼間に比べて人命の観点で危険性が高いと言えます。
このため、消防庁では、必要最小限で効果の高いと考えられる場所として、最低限、寝室への火災警報器を義務付けています(2Fが寝室の場合、階段への設置も義務付けられます。その他設置が義務化されている個所についてはお住まいの市町村窓口までお問い合わせください)。

機器の設置は効果的。安心感アップ

住宅火災100件あたりの死者数

危険箇所への設置義務化は理解できるとしても、やはり気になるのが、「設置効果」。
これについて、消防庁の調べ(※1)によると住宅用火災警報器が設置されている場合は、設置されていない場合に比べ、死者の発生は2/3、燃損床面積・損害額はおおむね半減しているそうです。
(※1:H25年からH27年までの3年間における失火を原因とした住宅火災につてい効果を分析・消防庁)
また、日本に先立って義務化を進めた米国では、1970年代後半には火災による死者数は、約6,000人でしたが、住宅用火災警報器の普及率が上昇するにつれ死者数は減少し、普及率が90%を超えた近年では、死者数がピーク時から半減(3,000人弱)という効果が現われています(消防庁ホームページより)。

取り付けてからが肝心!日頃のチェックとお手入れ方法

まさに住宅火災の切り札「住宅用火災警報器」。しかし、いざという時に確実に力を発揮する為には、日ごろの点検・管理が欠かせません。日頃のチェック方法とお手入れ方法をご紹介します。

チェック方法定期的に作動確認し音を聞く
①本体のボタンまたは紐を引きます。
②正常な場合は、正常を知らせるメッセージまたは警報音が鳴ります。
③音が鳴らない場合、電池がきちんと設置されているかをご確認ください。
④それでも音が鳴らない場合は、機器の故障か電池切れが考えられます。取扱説明書をご確認いただくか、お近くのファミエスまでお問い合わせください。
※作動確認方法は製品により異なります。付属の取扱説明書をご確認ください。

お手入れ方法
住宅用火災警報器はホコリが入ると誤作動を起こす場合があります。定期的にお掃除をおこないましょう。
汚れが付着した場合は、家庭用中性洗剤を浸して十分に絞った布で軽く拭き取ってください。ベンジンやシンナーなどの有機溶剤の使用や、水洗いはお避けください。
お掃除の方法は機種によって違いますので取扱説明書をご確認ください。
※お手入れや作動確認は、高所での作業となり、転倒や落下などの危険があります。安定した足場を確保して、作業を行ってください。

「10年たったら交換」機器寿命を確認ください

住宅用火災警報器は、古くなると電子部品の寿命や電池切れなどで、火災を感知しなくなることがあり、とても危険です。
いざという時のために、約10年を目安に機器の交換をお勧めします。
設置した年を調べるには、火災警報器を設置したときに記入した「設置年月」、または、本体に記載されている「製造年」をご確認ください。
住宅用火災警報器の詳細については、下記リンクの「社団法人日本火災報知機工業会の特設サイト」または「消防庁ホームページ」をご確認ください。