住まいと暮らしのQ&A

トルコ地震から学ぶ防災。

2023年2月6日午前4時、トルコ・シリア国境付近でマグニチュード7.3の大地震が発生しました。この地震では両国で5万人以上が死亡し、100万人以上が住宅を失いました。
阪神大震災のおよそ22倍のエネルギーが発生したといわれるトルコ地震。パンケーキクラッシュと呼ばれる現象で多くの建物が倒壊しました。パンケーキクラッシュとは、建物内部の柱や壁が強度不足で崩壊し、階層ごとに重なり合って平らに潰れることです。この場合、建物内部では圧死や窒息死が多発します。
避難生活で衛生環境が悪化し、感染症や栄養不足などの健康問題も深刻化しています。
私たちはトルコ地震から何を学び、どう備えるべきでしょうか。

地震から身を守る方法とは

地震による建物の倒壊や家具の転倒による下敷きで圧死することが多くあります。これを防ぐためには、耐震性の高い建物に住むことや、家具などをなるべく置かないこと、転倒しないように建物に固定しておくことが重要です。

次に、地震発生後の生活についてです。被災後は支援物資が届くまでは備えておいたもので生活していくことになります。水や食料の備蓄が大事になりますが、空腹を少しでも満たすだけでなく、温かい食事ができると精神的な支えにもなります。

また、衛生環境の悪化も心配です。人がたくさん集まる避難所でのトイレの問題は深刻です。ストレスから多くの方が下痢で仮設トイレを汚してしまいますし、掃除する水も不足します。
さらに、コロナやインフルエンザ、感染性胃腸炎、O157、ノロウィルスなど感染症も心配です。手指消毒のためのアルコールやマスクを用意しておきましょう。
口腔衛生品も必要です。水不足だと歯磨きができず歯周病が悪化し誤嚥性肺炎で亡くなる方も少なくないからです。

季節に応じた備えを

冬や夏の空調が必要な季節は、熱中症や寒さから身を守る工夫が必要です。
特にペットや乳幼児、お年寄りは体温調節が苦手なので、体調管理に注意しましょう。
昨年のクリスマス寒波では新潟で2人の方が一酸化炭素中毒で亡くなりました。家の中が停電で寒くなったため、車の中で暖を採ろうとした結果、車が雪に埋もれて排気ガスが車内に充満してしまったそうです。
また、北海道胆振東部地震や九州台風でも発電機を家の中で動かしたり、ストーブを使ったりして一酸化炭素中毒になって亡くなってしまった方が何人もいました。

これらの事例からわかるように、災害時は電気を確保することが重要です。家族と連絡を取る携帯やスマホも充電切れだと役に立ちません。
日頃、当たり前だと思っている電気がある暮らしのありがたさを改めて感じる必要があります。

地震は予測できない自然現象ですが、私たちは事前に準備することで被害を最小限に抑えることができます。また、被災後も生活の質を高めることで精神的な回復にもつながります。皆さまも地震に備えておくことをおすすめします。

災害からの復興や復旧は時間もお金もストレスもかかります。災害ストレスは寿命を8年縮めるというワシントン大学の研究結果もあります。自分だけではなく周囲の人々も同じように苦しんでいることを忘れずに、支援や復興への祈りと共感を持ちましょう。そして、災害から学ぶことは何か?自分や家族を守るためにどんな防災対策が必要か?考えて行動することが大切です。