エアコンと照明、ふたつの制度改正が私たちの暮らしを変えます。
2027年は、「省エネ」と「快適さ」を両立させる住まいへの転換点です
住宅分野の「2027年問題」は、私たちの暮らしに密接に関わる二つの制度変更です。
①エアコンの省エネ基準強化
②蛍光灯の製造・輸出入禁止
この二つの動きによって、「これまでの常識」が変わろうとしています。住まいの選び方や維持管理の考え方を見直すきっかけになりそうです。
エアコンの省エネ基準強化 ― 住宅性能の見直しが鍵
経済産業省は2027年度を目標に、家庭用エアコンの新しい省エネ基準を導入します。冷暖房効率(APF)の向上が求められ、現行より約14?35%高い性能が必要となります。
これにより、性能を抑えた廉価モデルの選択肢は減少し、より高効率な機種が主流になることで、製品価格の上昇が指摘されています。
住宅の断熱性能が低いと、省エネ機器の性能を十分に発揮できないため、エアコン更新と同時に断熱改修や内窓設置など、住宅全体の性能改善も重要になります。一般の戸建て住宅はもちろんですが、賃貸住宅のオーナーも、設備更新コストや入居者ニーズの変化を踏まえた計画が必要です。
蛍光灯の製造・輸出入禁止 ― LED化が加速する
水銀に関する水俣条約の規制により、2027年末で蛍光灯(直管・環形蛍光ランプ)の製造が終了します。
使用は可能でも、在庫減少で交換用蛍光灯の入手が難しくなり、価格上昇も予想されます。これを機に、LED照明への切り替えが加速するでしょう。
LEDは省エネ性に優れ、長寿命でメンテナンスの手間も少ないため、住宅の照明改修や集合住宅の共用部更新に最適です。
これら二つの動きは、「エネルギー効率の良い住まい」への社会的転換を促す流れです。
今後は単なる機器交換ではなく、住宅全体を「省エネ設計のシステム」として見直すことが求められます。
2027年問題を「負担」ととらえるか、「住宅価値を高めるチャンス」と見るか。
その備え方によって、未来の暮らしの質は大きく変わっていくはずです。





