住まいと暮らしのQ&A

湿度の正体、夏の40%と冬の40%は大違い

室内環境を考えるとき、指標のひとつとなるのが湿度です。冬の乾燥を語るうえでも欠かせません。
湿度が40%と聞くと「それほど乾燥していない」と感じる人は多いかもしれません。しかし実は、湿度とは“空気が今どれだけ水分を含めるか”に対する割合で、暖かい空気はたくさんの水分を含むことができますが、冷たい空気は含める水分量が減ります。
つまり、気温の違う「夏の湿度40%」と「冬の湿度40%」では、含まれている水分量が全く異なります。

例えば目安として、
●30℃の空気が最大に含める水蒸気量:約30g/m3
●10℃の空気が含める最大水蒸気量:約9g/m3

湿度40%に当てはめると…
●冬(10℃・40%) → 約3.6g/m3の水分

つまり、同じ40%でも冬は夏の約1/3以下しか水分がありません。
「同じ湿度」でも体感が違い、喉や肌がカサつきやすいのはこのためです。

冬の乾燥が引き起こす3つのリスク

①火災リスクが上がる
乾燥した空気では紙・木材・衣類などが燃えやすくなり、静電気や小さな火花からの着火リスクが増加します。空気が乾くと炎は勢いを増し、火は広がりやすくなります。

②健康リスク
乾燥した空気は、
●喉・鼻の粘膜を弱らせウイルスが侵入しやすくなる
●インフル・風邪・新型コロナが増える環境になる
●肌荒れ・アトピー症状を悪化させる
乾燥は静かに体を攻撃します。

③住まいのダメージ
木造住宅では建材の収縮ですき間風・床鳴り・家具割れなどが発生し、長期的には耐久性にも影響します。

冬は湿度“数字”よりも実質水分量を意識する季節

冬の室内環境で推奨される湿度は40~60%です。
加湿器・洗濯物の室内干し・観葉植物などで湿度を整えることが、火災予防にも健康維持にもつながります。

冬は空気が静かに、しかし確実に乾いています。
「湿度の数字」ではなく、空気がどれだけ水分を持てるかを意識すると、暮らしの防災と健康リスク管理が一歩進みます。
コンパクトサイズの湿度計は比較的安価で購入できますので、まずは一度、室内の湿度をチェックすることから始めてみましょう。