「引き継いだだけ」では続かない時代へ
親からアパートを引き継ぎ、気がつけばオーナーになっていた。そんな「2代目大家さん」は年々増えています。
ところが、いざ経営してみると「満室なのに不安」「空室が埋まらない」「借金の返済が苦しい」など、思いがけない悩みを抱える人も少なくありません。
たとえば、満室で借入がないオーナーは一見、安泰に見えますが、実は油断禁物。借金がないぶん、相続税の負担が大きくなったり、建物の老朽化が進んでも修繕計画を立てていなかったりするケースが多いのです。今の利益をどう次世代につなぐかが課題になります。
次に、満室でも借入がある場合。経営は順調にみえても、返済で手元にあまりお金が残らないことがあります。もし金利が上がったり空室が出たりすると、一気に資金繰りが苦しくなることもあります。余裕があるうちに、ローンの見直しや物件の価値アップを考えておくと安心です。
一方で、空室が多く借入がないオーナーは、焦りが少ない分、つい対策が後回しになりがちです。しかし、放っておくと建物の魅力が下がり、さらに入居者が減る悪循環に陥ります。思い切ってリフォームをしたり、学生向けやペット可にするなど、入居者のターゲット層を変えたりと、再生の工夫が必要です。
そして最も大変なのが、空室が多く借入もあるケースです。家賃が入らず、返済が重荷になってしまいます。この状況では、ひとりで悩まず、早めに金融機関や不動産の専門家へ相談することが大切です。返済条件の見直しや、物件の活用方法を一緒に考えることで、打開策が見つかることもあります。
2代目オーナーに共通しているのは、「引き継いだままの経営」から「自分の時代の経営」へと意識を変えることの重要性です。不動産は持っているだけで安心できる時代ではありません。どう活かすか、どう未来へつなぐか。その発想が、資産を守り、次の世代に渡すための第一歩になるのです。






