住まいと暮らしのQ&A

癒しと美しさを届ける、紫陽花の贈りもの

紫陽花(アジサイ)が母の日のプレゼントとして選ばれることが増えてきました。5月下旬から6月にかけて見ごろを迎える花期が母の日と重なり、市場に多く出回るため、手に取りやすいことも一因です。
また、紫陽花は切り花よりも鉢植えで贈られることが多く、「長く楽しめる」「育てる楽しみがある」といった理由から、園芸好きの母親へのギフトとして人気が高まっています。我が家の庭にも美しく咲いています。

品種改良と花言葉の変化

品種改良が進んだことで、ピンク・ブルー・パープルなどカラフルで華やかな品種が数多く流通し、「見た目が豪華」であることも人気の一因です。
もともと紫陽花には「移り気」「冷淡」などネガティブな花言葉があり、贈答用としては敬遠されることもありました。しかし近年では、品種や色によりポジティブな意味が込められるようになり、プレゼントとして受け入れられる機会が増えています。たとえば、ピンク系には「元気な女性」、青系には「辛抱強い愛情」、白系には「寛容」といったように、母親への想いを託す言葉として解釈されるようになりました。

花の色に影響する土壌のpH

紫陽花の色は、土壌のpH(酸性・アルカリ性)によって変わることで知られています。酸性土壌では青色に、中性からアルカリ性の土壌では赤やピンクに色づきます。この色の変化は、土中のアルミニウムイオンの溶解度と吸収に関係しており、酸性土壌ではアルミニウムが溶け出しやすく、植物がそれを吸収することで青くなるのです。

ミネラルと健康への影響

土壌pHの影響は、紫陽花に限らず他の作物や植物にも及びます。たとえば、酸性土壌では鉄やアルミニウムなど特定のミネラルが過剰になりやすく、作物に蓄積される可能性があります。こうしたミネラル、特にアルミニウムの過剰摂取は、神経系など人間の健康に影響を及ぼす可能性があるとされています。農作物を通じて間接的に健康に作用する点は、注意を払いたいところです。

紫陽花の色彩と心への作用

また、紫陽花の色彩は青や紫、ピンクなどさまざまで、その美しさは心の癒しやストレス軽減にもつながります。青や紫系は鎮静作用やリラックス効果、ピンク系は優しさや安心感を与えるとされており、「自然とのふれあい」が精神的健康に良い影響を与えるという近年の研究とも一致しています。

飲用されるアジサイ科の甘茶

さらに、アジサイ科の植物には「甘茶(アマチャ)」と呼ばれる種類があり、仏教行事などで飲料として用いられます。ヤマアジサイの変種に分類されるこの植物には、甘味成分「フィロズルチン」が含まれており、血糖値に与える影響が少ないとされます。また、抗アレルギー作用や抗酸化作用があるという研究報告もあります(ただし、現在は研究段階であり、一般的な観賞用の紫陽花には有毒成分が含まれているため、食用には適していません。甘茶として利用される品種とは異なるため、混同しないようご注意ください。)。

暮らしに取り入れたい紫陽花の魅力

紫陽花は、その見た目の華やかさだけでなく、色彩が持つ意味や健康へのつながりなど、さまざまな魅力を秘めた花です。季節の移ろいを楽しみながら、大切な人や自分自身の癒しとして、暮らしに取り入れてみるのもよいかもしれません。