災害の備えというと、備蓄(水、食料)や防災グッズが注目されます。もちろん大事ですが、見落としがちなのは、住まいの安全に関わる大切な要素のひとつである、分電盤やコンセントなど電気設備の備えです。
分電盤・コンセントの劣化や不具合が火災を招く
分電盤も家電製品同様に経年劣化することをご存じですか。皆さんは、大掃除の時などに分電盤を開けたことがありますか。
いつの間にか配線のゆるみが生じたり、虫やホコリが侵入して絶縁が悪化し、発熱や発火が起こることがあります。また、一つの回路に消費電力の大きい機器を集中させると、過負荷により過熱します。洗面所など湿気の多い場所にある場合も注意が必要です。
また、コンセントを長期間差しっぱなしにしておくと、コンセントとプラグの間にたまったホコリに湿気が加わり、ショートして発火します。これがトラッキング火災です。コンセントが経年劣化で緩んでくると、差し込み不良の際にも火花が発生します。タコ足配線や束ねたままコードを使用すると、ジュール熱(電気が流れるときに発生する熱)により差し込みプラグが過熱し、被覆(電線を覆っている絶縁カバー)が溶解して出火することがあります。
地震後の復旧時に起こる「通電火災」
大規模な地震が発生した際、揺れや倒壊でそれら電気設備が損傷し、停電後の復旧時に火災が発生するケースもあります。家具や家電が倒れ、コードやコンセントが破損している際に復電するとショートします。分電盤内の内部配線が揺れにより外れ、接触した状態で復電した場合も出火します。近くに可燃性のものがあれば火が広がります。
阪神淡路大震災の際には火災の約60%、東日本大震災時には約54%が、出火の原因は「電気」とされています。電気の復旧時期によっては、地震から数日経って通電時に火災になるケースもあります。これが「通電火災」です。
日常からできる電気火災予防
だからこそ、定期的に分電盤を開けてみること、コンセントの焦げ跡や緩み、ホコリをチェックすることが大切です。タコ足配線を避け、家具に押しつぶされない位置に配置しましょう。一般的に分電盤の寿命は13年といわれています。長く使用した分電盤や劣化したコンセントは早めに交換したほうがより安全です。漏電遮断器(ELB)や感震ブレーカーの設置で、地震時に自動で電源を遮断できます。
災害への備えは、備蓄に加え、設備回りなどの安全チェックも忘れずに。備えあれば憂いなしですね。