西日本は史上最も早い梅雨明けとなりました。6月中旬からは高温が続き、観測史上初のペースという異常な状況です。気象庁は、この6月の異常な暑さについて、「地球温暖化がなければ起きなかった」と明言しています。2025年は、猛暑への長期間にわたる備えが必要な夏の始まりです。
世界的にも記録的な高温が続く
2025年1月は世界全体で観測史上もっとも暖かく、月平均気温は平年より0.79℃高く、記録を更新しました。3?5月の世界の地表気温も平均より1.22℃高く、過去2番目の暖かさとなっています。WMO(世界気象機関)は、2025年から2029年の平均気温が、年間最高記録を更新し続けると予測しています。
各地で猛暑・熱波・干ばつが深刻化
南欧(ポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャ)では、6月末に40?43℃の記録的高温による熱波が発生。イギリスも6月末に30?35℃を超える熱波に見舞われ、史上もっとも暑いウィンブルドン選手権(テニス大会)の開幕となりました。
インドやパキスタンでは、500以上の地域で記録的な高温を観測し、最高気温は48.0℃を記録しました。アメリカでは東海岸を中心に38℃の熱波が発生し、多くの州で「100年に一度」の暑さに見舞われています。フロリダでは過去最悪の干ばつ、アラスカでは6月に初めて高温注意報が発令され、森林火災が頻発しています。
家庭内でも熱中症に警戒を
熱中症対策も、これまでにないレベルでの対策が必要ではないでしょうか。「クーラーが苦手」と言っている場合ではありません。総務省消防庁によると、熱中症の発生場所は家庭内が全体の4割を占めています。これは、日中の暑さや陽射しにより室温が上昇しやすく、風通しの悪い部屋に熱がこもりやすいためです。特にキッチンでは、調理によって熱や蒸気が発生し、高温多湿になることも一因です。例年より早く夏を迎えたことで、体がまだ暑さに慣れていない状態であることもリスクとなっています。
梅雨の短期間化による水不足にも注意
梅雨の短期間化による水不足も心配です。東京周辺では、利根川水系の貯水率が88%、多摩川では66%と、水源によって差が生じています。全国的にも貯水率が80%未満の地域が増えており、四国や九州ではすでに渇水対策本部が設置され、取水制限の可能性が高まっています。東北地方でも、春先から降水量が平年より26%少ない状況です。
7月も雨が少なくなる見通し
今後も太平洋高気圧の影響により、7月も降水量がさらに減る可能性が高いと、気象庁は警戒を強めています。AI予測モデルでは、7月末までに四国で取水制限となる可能性が80%、関東では貯水率が60%台まで低下すると見込まれています。
電力供給は想定内だが油断は禁物
電力不足の懸念についてはどうでしょうか。経済産業省の予測では、10年に1度の厳しい猛暑という最悪ケースでも、全電力エリアで最小必要予備率3%を確保できるとされています(※予備率とは、電力の需要に対してどれだけ余裕を持って供給できるかを示す割合です)。基本的には節電要請なしで乗り切れる見通しですが、ホルムズ海峡の封鎖による燃料調達不足や、発電所のトラブルによる停止が起こる可能性は否定できません。
危険な夏に向けた家庭での備え
熱中症対策、水不足対策、停電対策など、各家庭での備えが求められる、そんな危険な夏の到来です。
エアコンは我慢せずに適切に使用し、こまめな水分補給を心がけましょう。無理をせず、体調の変化には十分ご注意ください。