春のやわらかな光に包まれると、ふとかぐや姫の「神田川」の一節がよみがえる。70年代当時の貧しくも純粋な若者の生活を体現した名曲です。
相手の色を消さないという想像力
三畳一間の冷え込む下宿と、そこから通う銭湯が、冬の寒さを際立たせています。寒さの中で肩を寄せ合う情景から春へと向かう切ない青春を24色のクレパスで彩る。
限られた色で世界を描いていた、あの頃のぬくもり。やがて人は成長し、マイホームを持ち、家族とともに新しい日々を重ねていく。窓から差し込む春の光や、食卓を囲む何気ない会話は、何色にも代えがたい大切な色になる。
けれど同じ空の下、遠くではアメリカ、イスラエル、イラン、ウクライナ、ロシアといった国々の緊張が続いている。誰かの家が揺らぎ、家族の時間が奪われている現実がある。守りたいはずの「日常」が、こんなにも簡単に壊れてしまうことに胸が痛む。
本来、世界は24色では足りないほどの多様な色で満ちている。違いを塗りつぶすのではなく、重ね合わせることで新しい色が生まれるように、人と人、国と国もまた理解を重ねていけるはずだ。
小さな家の灯り、家族の笑い声。そんな当たり前の風景が、どの場所でも守られること。そのために必要なのは、特別な何かではなく、相手の色を消さないという想像力なのかもしれない。この春が、世界中の「帰る場所」をやさしく照らし、争いが静かに終わっていくことを心から祈りたい。
24色のクレパスで描く、ちっとも似ていない似顔絵を飾る、ひとつ屋根の下。共に暮らす空間が、暖かな春のようでいつまでもありますように。





