住まいと暮らしのQ&A

新電力会社の現状から、電力の今後を考える。

2021年度は31社もの新電力会社が相次いで倒産、廃業、事業撤退しています(帝国データバンク2022.3.30)。
発電所を持たない多くの新電力会社は、販売電力の調達を市場に依存するため、市場価格に左右される事業です。
電力の市場価格が安い時には利益が出しすい反面、異常気象などで電力の使用量が突然増えた場合などは、
市場価格が高騰するため、赤字になってしまいます。電力を最高値の251円で仕入れ、お客様に25円で販売した際のように、差額が電力会社の大きな負担となるからです。

世界のエネルギー争奪戦などにより、電力調達コストが急上昇。

さらには、コロナによる産油国の原油減産やウクライナ情勢による世界のエネルギー争奪戦などにより、
電力調達コストが急上昇して原価が売値を超え、販売すればするほど赤字が膨らみます。
電気代に反映させれば顧客離れにつながる恐れもあります。
電力事業は、ローコスト住宅や格安航空会社、100円均一ショップのような経営とはいきません。
電力は、生鮮食料品以上に生ものです。電気は保存することができないので、大量仕入れによる低価格化、機能を削減する、品質を落とす、期間限定の特別価格などができませんから「物販」とは異なった販売戦略を立てる必要があります。需要と供給のバランスを「読む」ことが重要な事業です。
これからは、電力も大量生産、集中生産、大量消費の時代ではなく、分散発電、分散確保の時代になっていくでしょう。新しい電力のあり方を考える時代です。

使い切れずに余剰となった電気を有効活用していく暮らしへ。

ご自宅の屋根の上で生活に必要な電気を創り出す太陽光発電を導入する方が今後、増加していくでしょう。
電力会社依存から、いわゆる『電気の自給自足』をおこない、不足分を電力会社から調達する。そして、使い切れずに余剰となった電気を有効活用していく暮らしへ。
余剰電力を販売するのでは、今後、買取金額が下げられるリスクが考えられますので、投資的な傾向が強くなります。再生可能エネルギーを取扱うなど地球温暖化対策の目的に使用していくために譲渡していく考え方も大切です。単に創ればいいという時代から、どう使うが問われる時代へとシフトしていくのではないでしょうか。