住まいと暮らしのQ&A

『北の国から』が問いかける、家族とマイホーム

倉本聰さんが91歳で亡くなりました。北海道・富良野を舞台に、黒板五郎と純、蛍の家族の歩みを描いた『北の国から』は、1981年の放送開始から長く人々の心に残り続けています。

家は、暮らしとともに変わる

この作品をいま「家づくり」という視点で見直すと、実に興味深いものがあります。五郎の家は、完成された理想のマイホームではありません。丸太や廃材など、その時々に手に入るものを使い、家族の暮らしに合わせてつくり、直し、変化していく家です。実際、作品には「拾って来た家」「五郎の石の家」など、五郎の家づくりそのものが物語として登場します。

現代の住宅は、性能、デザイン、設備、資産価値など「完成時の満足」が重視されがちです。しかし、家は本来、家族の人生とともに変わっていく器でもあります。

子どもが巣立ち、親が年を重ね、働き方が変わる。だからこそ新築だけでなく、間取りを変える、断熱を高める、使わない部屋を見直す、思い出の材料を残す――そんな「暮らしながら育てる家」という発想が、これからのリフォームには必要なのではないでしょうか。人生100年時代だからこそ、なお一層大切になるはずです。

『北の国から』が描いたのは、立派な家を持つことではなく、家族がそこでどう生きるかでした。倉本さんが残した問いは、いまの私たちにも向けられています。

「どんな家を建てるか」ではなく、「その家で、どんな家族の時間をつくるのか」。これからの家づくりは、そこから考えてみたいものです。